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勤怠管理とは?重要性や管理すべき項目を解説。専用システムの種類も紹介

公開日:2021.12.03 更新日:2023.10.03

企業運営に欠かせない業務のひとつである“勤怠管理”。労務や人事の領域を担当されている方は、必ずといってもいいほど関わる業務のひとつです。

昨今、働き方改革の推進やICTの活用によって、働き方は多様化しています。それに呼応する形で、勤怠管理の意義や適切な方法も変化しているのが現状です。そのため、企業はこれまでのやり方に固執せず、「時代に合った勤怠管理」を実践していかなくてはいけません。

本記事では、勤怠管理に関する基本情報の他、これからの勤怠管理について、具体的な方法や注意点といった「実践で役立つ情報」をご紹介します。

労務・人事担当者の方はもちろん、経営視点から勤怠管理の見直しを検討されている経営者やマネージャーの方もぜひご参考ください。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、使用者(企業や事業所)が従業員の就業状況を正確に把握し、適切に管理することです。タイムカードや勤怠管理システムを用いて、出勤時刻や退勤時刻、時間外労働や有給取得状況などを記録し、管理を行います。

勤怠管理の意味・意義

企業にとって勤怠管理は、大きな意味・意義のある業務です。勤怠状況を適切に管理することによって、従業員の過重労働防止に役立ち、健全な労務環境を構築することができます。

また、労働時間は、労働基準法第三十二条において、「使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。(※1)」と定められています。

同様に時間外労働についても上限があります。2018年7月6日に公布された「働き方改革関連法」により規制が厳しくなり、「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません(※2)」と定められています。

さらに、上述の働き方改革の実現に伴い、労働安全法が改正され、客観的方法による労働時間の把握が義務化されました。

労働安全法の第六十六条の八の三では、「事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。(※3)」と定められています。

労働時間の適正な把握における原則的な方法として、事業者向けのガイドラインでは「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」と定められています(※4)。

このように、勤怠管理は法令遵守の観点から見ても非常に重要な業務です。健全な企業運営を目指す上で、欠かせない業務のひとつといえるでしょう。

※1:労働基準法第三十二条
※2:時間外労働の上限規制
※3:労働安全法第六十六条の八の三
※4:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

就業管理との違い

勤怠管理と似たような言葉に「就業管理」というものがあります。混同して使われることの多い両者ですが、厳密には意味が異なります。勤怠管理とはこれまで説明した通り、「従業員の勤怠状況を把握し、適切に管理すること」です。

一方の就業管理とは、従業員の作業開始時刻や終業時刻、休憩時間や休日など、「就業に関連する事項のルールを定め、統一すること」を意味します。

企業は、従業員が不均衡にならないように配慮しつつ、生産性やパフォーマンスを向上させなくてはいけません。そのために「法律に則した就業に関するルール」を定める必要があり、これらのルールを管理することが“就業管理”というわけです。

就業管理は広義的に扱われることが多い言葉で、その場合、勤怠管理は就業管理の一部として説明されることがあります。就業管理の目的は「法令に沿って従業員の労働衛生を守ること」であるとされ、勤怠管理はその一部を担う業務という区分になります。

勤怠管理の重要性

勤怠管理の意味や意義については、先に説明した通りです。ここからは、企業における勤怠管理の重要性について解説します。

使用者側の義務である

まず第一に、勤怠管理を行うことは使用者(企業・事業所)に課せられた義務です。

労働基準法第百八条では勤怠管理について、「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。(※1)」と規定されています。

具体的には、“労働日数”や“労働時間数”、“時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数”などを、賃金台帳に記入する必要があります。

これらの事項を記入するためには、日々の勤怠状況を正確に記録しておかなければいけません。使用者の義務である賃金台帳の記入を果たすためには、適切な勤怠管理が欠かせないというわけです。

※1:労働基準法第十二章雑則第百八条(賃金台帳)

正確かつ明瞭な給与計算

勤怠管理は給与計算の基準となります。従業員の勤務状況を正しく管理できていれば、正確かつ明瞭な給与計算が可能です。従業員と信頼関係を構築するにあたって、賃金を正しく支払うことは言うまでもなく重要です。

特に残業代は複雑化しやすく、うやむやになったまま蔑ろにされてしまうケースも少なくありません。トラブルを引き起こさないためにも、適切な勤怠管理を行い正確な給与計算を行う必要があります。

健全性のアピール

企業PRの観点からも、勤怠管理は重要です。正しく勤怠管理が行われている企業は、世間や求職者から「コンプライアンス違反のない健全な経営を行っている企業である」と評価されるからです。

昨今、過重労働を強いるブラック企業が話題となり、社会問題となっています。このような情勢において、健全経営をアピールできることは企業のイメージアップに繋がります。求職者に「働きやすい会社である」と認識され、人材獲得にも有利に働くでしょう。

トラブルの防止

従業員の勤怠状況を適切に把握することは、トラブルの防止に繋がります。勤怠管理を正しく行うことで、過重労働や時間外手当の不正受給といった労働に関する問題を早期に発見できるからです。

早期に発見して素早く対処できることで、訴訟などの大きなトラブルに発展する前に問題を解決することができます。

勤怠管理の対象|対象者・事業所

勤怠管理の対象となるのは、どのような“事業所”や“人”なのでしょうか? 対象となる事業所や人について解説します。

事業所

厚生労働省のガイドラインによると、対象となる事業場は「労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用される全ての事業場(※1)」とされています。

この規定が適用されない業種は、天候に仕事の時間を左右される農業や水産業などごく一部の業種に限られるため、従業員を雇用する場合、ほとんど事業所で対象となると考えたほうがいいでしょう。

※1:労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

対象者

こちらも厚生労働省のガイドラインによると、勤怠管理の対象者は「労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除くすべての労働者(※1)」とされています。

労働基準法第41条に定める者とは、管理監督者のことです。部長や工場長など経営者と一体的な立場にある者を意味しており、役職名ではなく職務内容の実態などに則して管理監督者と判断されます。

また、みなし労働時間制が適用される労働者とは、以下に該当する労働者のことを指しています。

①事業場外で労働する者であって、労働時間の算定が困難な者(記者や外勤の営業など)
②専門業務型裁量労働制が適用される者(デザイナーやシステムエンジニアなど)
③企画業務型裁量労働制が適用される者(会社の中枢を担う部門での企画立案や調査分析などに携わる労働者)

労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

※1:労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

勤怠管理で管理する項目

勤怠管理で管理すべき事項について解説します。勤怠管理では、主に労働時間に関わる項目を管理します。

出勤、欠勤、休日の日数

出勤や欠勤、休日の日数を記録し、管理します。先に述べたように労働基準法によって労働日数は上限が決まっています。

使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければいけないとされているため、従業員の就労実態が法令に違反していないかどうか、これらの管理を通じて適切に把握する必要があります。

始業・終了時刻、労働時間、休憩時間

始業や終業の時刻、労働時間や休憩時間も記録して管理が必要です。何時から仕事を始め、何時に仕事を終えたのか、労働時間は何時間で、休憩はどれくらい取ったのかを、原則として“1分単位”で記録する必要があります。

使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならず、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならないとされています。そのため、労働時間と休憩時間の記録はコンプライアンスの観点から見ても重要です。

時間外、深夜、休日の労働時間

時間外や深夜、休日の労働時間についても、記録と管理が求められます。これらの労働は賃金が割増になるため、正確な給与計算を行う上で重要です。賃金トラブルを防止するためにも、正しく記録して適切な管理を行う必要があります。

有休取得と残日数

有給休暇の取得状況も、勤怠管理に必要な事項に含まれます。正しく取得されているか、何日分取得しているか、残日数はどれくらいかなどを把握する必要があります。

有給休暇を正しく付与することは企業の義務です。また、働き方改革関連法案により、2019年4月1日からは年間で5日以上の有給休暇を従業員に取得させることが義務化されています。

適切に管理し、必要に応じて有給休暇の取得を促す、もしくは取得させることが必要です。

勤怠管理の注意点

働き方が多様化している昨今において、従来のような一律の勤怠管理では適切に管理できないケースが増えています。従業員の働き方に合わせて、適切な管理方法を選択しなくてはならない点に注意が必要です。

ここでは、雇用形態や就業形態ごとの勤怠管理の注意点について解説します。

契約社員、派遣社員の勤怠管理

契約社員においては、契約通りに勤務しているかどうかを確認するために、正規従業員と同等の勤怠管理が求められます。正確な勤怠状況の把握が必要です。

他方、派遣社員の勤怠管理については、賃金の支払いや有給休暇の付与は派遣元が行うため、派遣先企業は給与計算の基となる労働時間の把握ができていれば問題ありません。勤怠管理において、特段の注意を払う必要はないといえるでしょう。

パート・アルバイトとして働く従業員の勤怠管理

パート・アルバイトとして働く従業員の勤怠管理では、それぞれ時間ごとの賃金(時給)や勤務日数、労働時間が異なる点に注意が必要です。

また、従業員によっては、週の中で希望の曜日や時間帯などがあり、それらの希望をどのように汲むのかも合わせて検討する必要があります。

従業員ごとに就労状況や希望が異なるため、勤怠管理システムやシフト管理表などを用いて、客観的に記録できる仕組みを作るのがおすすめです。

扶養控除を希望する従業員の勤怠管理

扶養控除を希望する従業員の勤怠管理は、特に注意を払う必要があります。配偶者の扶養に入っている従業員の場合、年収が一定の金額を超えたり、規定以上の労働時間を働いてしまったりすると、扶養から外されてしまう恐れがあるからです。

具体的には、所得税が発生する「103万円の壁」や配偶者の社会保険扶養から外れてしまう「130万円の壁」などがあります。従業員の希望を確認し、従業員が損害を被らないように配慮ある勤怠管理を行うことが必要です。

勤怠管理の方法

勤怠管理の方法は、厚生労働省のガイドラインでは以下の通りに定められています。

・使用者が、自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

勤怠管理を行う際は、これらの要件を満たした状態で記録や管理を行わなければいけません。その上で、自社のやり方に合った方法を選択する必要があります。ここからは、勤怠管理の方法について代表的な4つの種類を紹介します。

タイムカード

1つ目に紹介するのは、タイムカードを用いた勤怠管理です。タイムカードを専用のレコーダーに差し込むことで出勤時刻と退勤時刻を記録します。

中小企業を中心に、多くの企業で用いられている勤怠管理方法です。導入の手間がかからない点に加えて、操作方法がシンプルで従業員の学習コストが少なくて済むというメリットがあります。

一方で、“月に一度エクセルに入力するなどしてデータ集計しなければならない”、“休日や残業時間の正確な記録が難しい”、“手作業のため従業員が多い大企業の場合はヒューマンエラーによるミスの多発がリスクとして挙げられる”などのデメリットもある点に注意が必要です。

紙の出勤簿

2つ目に紹介するのは、紙の出勤簿を使った勤怠管理です。勤怠管理方法の中でも最もアナログなやり方で、カレンダー様式の1枚の紙に、出勤時刻や休日、残業時間や有給取得日などあらゆる勤怠情報を従業員自らが書き込みます。

1枚の用紙で記録を完結できる点は大きなメリットですが、労働者本人が手動で記録する「自己申告制」のため、不正申告やサービス残業などが起きやすい点に注意が必要です。

エクセル

3つ目に紹介するのは、エクセルによる勤怠管理です。エクセルに勤怠管理用のシートを作成し、そこに出勤時刻や退勤時刻を入力して管理するという方法になります。

あらかじめ数式を入力しておくことで、労働時間や残業時間を素早く算出できる点がメリットです。また、勤怠管理用のフォーマットはインターネット上で無料配布されていることも多く、「始めやすい」点もメリットのひとつに挙げられます。

一方で、紙の出勤簿と同様に、エクセルに入力するのは労働者自身であり「自己申告制」の管理方法となるため、入力ミスや不正申告が起きやすい点に留意しなくてはいけません。

また、法改正などがあった場合、エクセルの数式を書き換えなければいけない点も事前に想定しておく必要があります。

勤怠管理システム

4つ目に紹介するのは、勤怠管理システムを活用した方法です。勤怠管理に必要な機能が一通り網羅されており、少ない管理工数で勤怠管理を行えるのが大きな特徴です。

例えば打刻の方法はスマートフォンやPC、ICカードなどさまざまな手段から選ぶことができます。そのため、従業員同士が離れた場所で働くテレワークを導入する企業においては、スマートフォンから気軽に打刻や勤怠申請を行える勤怠管理システムを導入することが多いようです。

また、給与計算システムと連動させることで、勤怠状況に応じた正確な給与計算を自動的に行えるようになることもメリットです。

多くの従業員が働く大企業においては、エクセルやタイムカードによる勤怠管理の場合、手作業の負担が大きすぎて適切な勤怠管理が困難であるため、勤怠管理システムを導入し効率化を図るケースが多いとされています。

ただし、勤怠管理システムは便利である一方、コストがかかる点に注意が必要です。月額の利用料といったランニングコストはもちろん、導入の初期費用としてイニシャルコストがかかるケースも多いため、コストバランスをきちんと見極めた上で活用する必要があります。

勤怠管理システムの種類

先ほど紹介した勤怠管理システムには、大きく分けて3つの種類があります。それぞれについて解説します。

クラウド型

インターネット上で提供されているサービスを月額や年額で契約して利用するのが、クラウド型と呼ばれる種類です。クラウド型は、ネット環境と端末さえあれば使用できるため、従業員は場所や機器に縛られることなく勤怠情報を入力できます。

例えば、個人所有のスマートフォンに専用のアプリをダウンロードして、自宅から勤怠を入力するといったことも可能です。

また、導入や利用にかかるコストが少なく、加えてシステム導入から利用開始までの期間が短いことも特徴として挙げられます。コストを抑えつつ、すぐに使い始めたいという企業におすすめの勤怠管理システムです。

オンプレミス型

自社が保有するサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを管理するのが、オンプレミス型と呼ばれる種類です。

オンプレミス型の強みは、“カスマイズの自由度が高いこと”と“セキュリティが強固であること”の2つが挙げられます。自社の勤務状況に合わせてシステムを組み直せるので、複雑な勤怠管理が求められる場合におすすめです。

また、セキュリティについても、外部のサーバーを借りるクラウド型に比べて、システム・サーバーの運用保守を自社で完結できるため情報漏えいのリスクを抑えることができます。

そのため、顧客の個人情報を取り扱うような企業の場合、オンプレミス型で運用していることも多いです。

タイムレコーダー型

タイムレコーダー型は、勤怠管理システムの中で機能や操作が最もシンプルな種類です。先に紹介したタイムカードの進化版のような位置付けで、主に出退勤の時刻を記録するために用いられます。

打刻方法は、ICカードや指紋認証などさまざまな方法が用意されており、自社の運用に合ったものを選べます。中には、端末にソフトウェアをインストールすることで、iPadをタイムレコーダーにできるサービスもあります。

テレワークにおける勤怠管理

働き方改革や感染予防対策の一環として、テレワークを導入している企業も多いのではないでしょうか。オフィスに出勤しない働き方であるテレワークにおいて、紙の出勤簿やタイムカードなど出社を前提とした勤怠管理の方法は実践することができません。

そのため、テレワークを実施するのであれば、出社する場合とは別に勤怠管理に関する制度を構築する必要があります。ここでは、テレワークにおける勤怠管理について、理解しておきたいポイントや注意点について解説します。

従業員の自己申告制となる

まず第一に、テレワークの勤怠管理は「従業員の自己申告制」となる点について理解しておく必要があります。出社しない働き方であるテレワークでは、上司やマネージャーが従業員の働きぶりを直接目で見て確認することができません。

各メンバーの勤務状況は、基本的に従業員の自己申告から判断するしかないのです。自己申告制を採用する場合は、従業員に対して適正に記録を行うことを周知し、きちんと指導する必要があります。場合によっては、実態調査が必要となることもあるでしょう。

テレワークの勤怠管理では、これらを踏まえた上でどのような管理方法が適切なのかを考えていくことが重要です。

クラウド型がおすすめ

テレワークの勤怠管理には、クラウド型の勤怠管理システムを活用するのがおすすめです。ネット環境と端末さえあればどこからでも勤怠登録を行えるだけでなく、コスト面に関してもオンプレミス型と比較して安く抑えることができます。

テレワークの勤怠管理における注意点

テレワークの勤怠管理では、自己申告制という前提を踏まえた上で、その他にも注意すべき点が2つあります。その2つについて解説します。

長時間労働の防止

まず1つ目は、長時間労働の防止についてです。テレワークでは、管理者が従業員の勤務状況を視覚的に確認することができません。そのため、長時間労働の実態を見抜くことが難しいとされています。

先にも解説した通り、労働基準法において労働者に労働させてよい時間は上限が定められています。労働者を守るのはもちろんのこと、コンプライアンス遵守のためにも、仕事の偏りや勤怠状況、従業員の様子などを管理者が積極的に把握する必要があります。

長時間労働の兆しが見えたら、ヒアリングや業務量の調整などを行い、実態の把握と改善に努めなくてはいけません。

テレワークにおいては労働実態が把握しづらいことを念頭に置き、長時間労働を防止するためには管理者が能動的にアプローチする必要がある点を押さえておきましょう。

年次有給休暇の取得

2つ目は、年次有給休暇の取得です。出社を前提とした働き方は、従業員の出勤状況を視覚的に把握できるため、有給休暇の取得状況を把握しやすい環境であったといえます。

一方、テレワークの場合、管理者は従業員の勤務状況を目で見て確認できないため、“そもそも休みなのかどうか”に気づきづらく、結果的にどれくらい有給休暇をしているのかを適切に把握しにくくなってしまうのです。

先に解説した通り、2019年4月1日に施行された働き方改革関連法案により、使用者は労働者に年間で5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられています。

有給休暇を取得させることは企業の義務なので、テレワークにおいては、従業員の有給休暇取得状況についてより一層の注意を払う必要があります。

テレワークの勤怠管理システムに必要な要件

テレワークで勤怠管理システムを導入する場合、必要とされる要件について解説します。

勤務時間の管理ができる

まず1点は、勤務時間の管理ができることです。出勤時刻や退勤時刻、休憩時間や労働時間などについて、記録・管理できるようなシステムが必要です。勤怠管理の軸となる部分なので、自社の運用ルールに合った管理ができるかどうかも合わせて確認しておきましょう。

作業状況の確認ができる

2点目は、作業状況の確認ができることです。従業員の作業状況を確認できる機能があれば、テレワークの環境下においても適切に勤務状況を把握することができます。

これはあくまでも一例ですが、勤怠管理システムのサービスによっては、遠隔操作で従業員が使用している端末の画面をスクリーンショットして記録できるものもあります。

ただし、こうした機能の活用は、管理面の「作業状況が見えないことへの不安」が解消される一方で、従業員が「監視されている」と感じてしまう可能性があることに注意が必要です。

監視されていることへの不信感からモチベーションの低下を招く恐れもあるので、配慮あるやり方で活用するのが前提となるでしょう。

給与計算ツールなどその他システムと連携ができる

3点目は、給与計算ツールなどその他の基幹業務システムと連携ができることです。テレワークにおける勤怠管理では、多くのケースでクラウド型が採択されます。

自社サーバーにソフトウェアをインストールするオンプレミス型は導入ハードルが高く、機能やセキュリティについてもオーバースペックとなる場合が多いからです。

クラウド型の勤怠管理システムを使う際は、その他の基幹システムとクラウド上で連携できると基幹系業務が楽になります。それぞれのシステムに登録された情報をクラウド上で紐付けることで、業務に必要な情報を自動的に吐き出してくれるからです。

例えば、勤怠情報と給与計算ツールを連携させることで、従業員に支払う賃金を正確に算出することができます。

システム同士の繋ぎ込みに多少の人的労力は必要ですが、それでも作業工数の大幅な短縮を見込めるはずです。システム検討時に、それぞれを連携させることができないか、確認してみるといいでしょう。

時代に合わせた勤怠管理を

いかがでしょうか。今回は「勤怠管理」について詳しくご紹介しました。勤怠管理は、企業を運営する上で欠かせない業務のひとつであり、従業員を雇用する“使用者の義務”として法律上で定められています。勤怠管理の意味や意義を正しく理解し、健全な企業運営を心がけましょう。

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