タスクマネジメントとは?実施する4つの手順と3つの運用手段を紹介
仕事を効率よく進めるのに有効とされている「タスクマネジメント」。近年、タスクマネジメントに役立つクラウドサービスも数多く登場し、注目度が高まっています。
しかし、ビジネスパーソンの中でも、タスクマネジメントのことを詳細に理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか。
業務の効率的な進行に役立つ手法のひとつとして認知されているタスクマネジメントですが、言葉の印象だけで何となく意味を理解できてしまうため、より深い部分の理解に入る一歩手前で、足を止めているビジネスパーソンも多いのではないかと思います。
タスクマネジメントは、正しく行うことで大きな効果を発揮します。正しく行うためには、その概要や具体的な方法の理解が必要不可欠です。
今回の記事では、タスクマネジメントについて詳しくご紹介します。タスクマネジメントとは何か、手順や運用手段はどうなっているのか、コツがあるとすればそれはどのようなものかなど、タスクマネジメントについて総合的に解説します。
「タスクマネジメントを業務に採りいれて仕事を効率化したい」と考えているビジネスパーソンはぜひご参考ください。
目次
タスクマネジメントとは何か?
タスクマネジメントとは、チームや個人に与えられたタスク(行うべき業務や作業)を、期限内に処理できるよう、適切に進行管理を行うことを指します。
具体的には、処理すべきタスクごとに優先度や期日を設定し、それらを可視化した状態で管理することで、対応の抜け漏れ防止やプロジェクトの進捗管理に役立てるといったものです。
日々の仕事の中では、さまざまなタスクが発生します。見積の提出や提案資料の作成など、挙げればキリがありません。しかも、発生を予想できない突発的なタスクも少なくない頻度で登場します。
こういった膨大な数のタスクを、自分の頭の中だけで優先度に検討をつけ、スケジューリングし処理していくのは難易度が高く、場合によっては失念などのトラブルが発生するリスクもあります。
タスクマネジメントは、各タスクの状況を網羅的に把握し、進捗を管理することに役立つ手法です。たくさんのタスクを効率よく処理するのに役立ち、業務の品質維持や生産性の向上に効果を発揮します。
タスクとTODOの違い
タスクと似たような意味の言葉として、TODOという言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか? タスクとTODOは同じような意味の言葉として扱われることも多いですが、厳密には意味が異なります。
タスクは「プロジェクトの達成に必要な作業であり、明確に期日が存在するもの」であり、一方のTODOは「日常のやるべき業務であり、明確な期日が存在しないもの」です。
項目 | 概要 | 明確な期日 |
---|---|---|
タスク | プロジェクトの達成に必要な作業 | あり |
TODO | 日常のやるべき業務 | なし |
「やるべき作業、業務」という点はどちらも共通していますが、期日の有無や処理するタイミングに違いがあります。
タスクマネジメントの手順|4つのフェーズ
タスクマネジメントはフェーズを4つに分解して行います。その4つのフェーズとは、
- タスクの洗い出し
- 優先順位の決定
- スケジュールの設定
- 定期的な進捗確認
です。それぞれについて解説します。
①タスクの洗い出し
まず行うべきは、「タスクの洗い出し」です。プロジェクトの達成に向けて、やるべきことや必要な作業を全て洗い出します。このフェーズはしっかりと行わなければ後々問題が起こる恐れがあるため、丁寧に行う必要があります。
処理すべきタスクが後から発覚して全体の調整を強いられたり、対応すべきタスクが“洗い出し”から漏れてプロジェクトに穴を開けることになったりなどの問題が起こる可能性があるのです。
これらの問題を起こさないためにも、洗い出し作業を何回かに分けたり、複数人で確認しあったりして、しっかりとタスクを洗い出すことが大切です。
また、このフェーズではタスクの内容に問題がないかの確認も行います。チームのタスクマネジメントにおいては、メンバーがタスクに対して“共通認識”を持つことが重要です。メンバーごとにタスクの解釈が異なると、連携のたびに認識を合わせるためのコミュニケーションが発生し、業務効率が低下してしまいます。
タスクの内容はもちろん、洗い出しの粒度やカテゴライズなどに問題がないか、チームの中で確認を行いましょう。
②優先順位の決定
タスクの洗い出しが完了後、次に取り組むべきことは「各タスクの優先順位を決定すること」です。
優先順位を設定することで、直近で取り組むべきタスクが見えるようになります。「どのタスクから手をつければいいのか」と右往左往してしまうことがなくなり、効率よくタスクの処理を進められます。
また、プロジェクトが遅延している場合でも、優先順位の設定は有用です。優先度の高いタスクから処理することで、スケジュール調整やリソースの再配分など、プロジェクトの進行管理に伴う業務負担を軽減させられます。
重要度と緊急度を指標に
優先順位をつける際は、「重要度」と「緊急度」の2つを指標に用いるのがおすすめです。“重要度”はプロジェクトの遂行におけるそのタスクの重要性を表し、“緊急度”はそのタスクがどれだけ迅速に処理しなければいけないタスクなのかを表します。
重要度が高く、緊急度も高いものはすぐに着手すべきタスクです。反対に、重要度も緊急度も低いタスクは、後回しにして問題ありません。また、重要度は高いが緊急度が低いというタスクも、処理する優先順位は低くなります。
このように、2つの指標を用いてタスクのレベル感を設定することで、優先順位をつけやすくなります。
さらに、重要度に合わせて人員配置を調整するといった応用も可能です。
重要度が高く、処理するのに一定の経験を必要とするタスクはベテラン社員に担当してもらい、重要度も緊急度もそれほど高くないタスクは新入社員に任せるといったように、人員配置の検討材料としても機能させることができます。
③スケジュールの設定
優先順位の決定を終えたら、次は各タスクのスケジュールを設定します。優先順位に基づく形でタスクごとに開始日と終了日を設定し、プロジェクト全体のスケジュールを作成していきます。
ここで重要なのは、ある程度余裕をもったスケジュールを設定することです。
例えば、あるタスクを処理するのに必要な期間が2日だとして、その実数の通り2日で想定工数を組み込むのではなく、2.5日や3日など、実数より2〜3割ほど余裕をもったスケジュールを与えるようにします。
そうすることで、期日に追われることなく落ち着いてタスクの処理にあたれる他、突発的に発生するタスクやトラブルにも余裕をもって対処することができます。
また、設定したスケジュールは可視化された形で記録しておくことが重要です。頭の中だけでスケジューリングをすると、予定のダブルブッキングや期日の失念によるタスクの処理漏れが起きてしまう恐れがあります。
④定期的な進捗確認
スケジュールの設定が完了し、タスクの実行段階に入った後は、プロジェクトマネージャーが定期的にタスクの進捗状況を確認します。
予定通りのスケジュールでタスクを消化できているかを確認し、遅延が見られるタスクがあれば、人員の再配置や期日のリスケジュールなどによってプロジェクト全体に影響を及ぼさないように調整を行います。
また、定期的な進捗確認ではスケジュールの消化状況だけでなく、作業品質についても確認を行うのがおすすめです。スケジュールを意識するあまり、作業の品質維持がおろそかになってしまう恐れがあるためです。
タスクマネジメントの運用手段
タスクマネジメントの運用手段は、複数の種類があります。代表的な3つの種類をご紹介しましょう。
①紙に手書き
まず1つ目に紹介するのは、「紙に手書き」といった方法です。メモ帳や付箋、ノートなどにタスクを書き出して管理します。身近にあるもので実践できるので、手軽に始められるのが大きなメリットです。
また、付箋であれば、デスクやPCに貼り付けて管理できるため、視覚的にわかりやすく抜け漏れが起きにくい他、完了したら剥がして捨てればよいため、簡単にタスクを管理できます。
ただし、紙に手書きの場合、タスクの進捗状況に関して、“他者と情報共有することが難しい”というデメリットがある点に注意が必要です。基本的には、個人のタスクマネジメントに適した運用手段といえるでしょう。
②表計算ソフト
2つ目に紹介するのは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの「表計算ソフト」を用いて管理する方法です。
これらの表計算ソフトでは、タスクの情報を項目別に切り分けた状態で管理することができます。“日時”や“進捗状況”、“担当者”など、タスクの進捗管理に必要な情報を表の中に組み込めるので、誰が見てもわかりやすい管理表の制作が可能です。
特に、Googleスプレッドシートはクラウド上で共同利用できるため、情報の共有性が抜群です。1つのファイルを更新するだけで情報共有が完結するので、チームでタスクマネジメントを行う際に役立つでしょう。
③タスク管理ツール
3つ目に紹介するのは、「タスク管理ツール」を用いて管理する方法です。タスク管理ツールとは、タスクを管理するために作られた専用ツールのこと。
専用ツールのため、あらかじめ管理に必要な情報を入力する「箱」が用意されています。そのため、表計算ソフトのように0から管理表を作成する必要はなく、インターフェースに従って情報を入力していくだけでタスク管理できるのが特徴です。
また、ドラッグ&ドロップなど直感的な操作で管理できるサービスが多いこともポイントです。誰でも操作しやすいように設計されていることが多いため、学習コストを抑えることができます。
タスク管理ツールは、サービスによって搭載されている機能がさまざまであるため、自社の運用に合ったサービスを選ぶことが大切です。
無料で使えるものもありますが、チームで本格的に運用するとなると、機能的に有料プランで契約しなければ運用できないケースも多いです。コストバランスや使い勝手、搭載されている機能など、さまざまな側面を見比べた上でサービスを選びましょう。
さらに、タスク管理ツールの中には、アプリ化されているものもあります。スマートフォンから気軽に、タスクの進捗状況を確認したりステータスを更新したりできるので、よりタイムリーなタスクマネジメントを行うことが可能です。
タスクマネジメントのコツ
タスクマネジメントはコツを抑えておくことで、より効率的に行うことができます。押さえておきたいポイントを解説します。
タスクを細分化する
タスクの洗い出しを行う際、できるだけタスクを細分化した状態でリストアップできるようにしましょう。
タスクを細分化することで、目標を達成するまでに必要な作業を可視化させることができます。そうすることで業務プロセスが明確になるため、タスクのスケジュールを組みやすくなるのです。
例:SNS広告出稿
例えば、製品プロモーションのプロジェクトにおいて「SNSに広告出稿する」というタスクがあったとします。この場合、管理表に「SNS広告出稿」と書くだけでタスクを追加してはいけません。
SNS広告出稿を“親タスク”としてさらに作業を分解し、親タスクを達成するために必要な“子タスク”まで洗い出すのです。SNSへの広告出稿であれば、クリエイティブの作成や効果測定方法の検討、出稿時のセグメント決定など、さまざまな作業(子タスク)があります。
このようにタスクを細分化することで、親タスクの工数を正確に見積もることができ、最適な人員配置も行いやすくなります。結果として、プロジェクト全体のタスクマネジメントを効率化させることができるのです。
優先順位をつける
タスクマネジメントの手順でも解説しましたが、タスクには優先順位をつけることが重要です。優先的に対応すべきタスクが見えるようになり、効率よくプロジェクトを進行させることができます。
優先順位をつけるときは、重要度と緊急度の2つを指標として用いるのがおすすめです。重要度と緊急度が高いものは優先的に処理し、そうでないものは後回しにする、といったようにタスクの優先度を測定する際に役立ちます。
情報共有をする
チームでタスクを管理する場合は、定期的に情報共有を行いましょう。情報共有を行うことで連携が取りやすくなり、チームの生産性向上が期待できます。
また、特定のタスクに遅れが出てしまっている場合も、定期的に情報共有の場を設けていることで、素早く対策を講じられます。担当しているタスクに余裕のあるメンバーが助けたり、他のタスクのスケジュールを短くして全体を調整したりなど、さまざまな対策が打てるのです。
適切なタスクマネジメントで業務効率を改善
タスクマネジメントは「やるべきこと」や「行うべき作業」を整理して、業務を効率よく進めるための仕事術です。
「やるべきことが多くて整理がつかない」「チームで仕事をしているが、属人的で各タスクの状況が見えず、連携が効率的でない」とお悩みの方は、タスクマネジメントの実践が解決の糸口になる可能性があります。
ぜひ本記事を参考にしていただき、タスクマネジメントを実践されてみてください。
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