コミュニケーションコストが高くなる6つの原因を解説!下げる方法も紹介
ビジネスを進めるうえで、関係者同士のコミュニケーションは欠かすことができません。しかし、その方法を間違えたり、関係する要素に何らかの問題があると、ビジネスの成長を妨げる「コミュニケーションコスト」に変化する恐れがあります。本稿では、コミュニケーションコストについて、その概要とビジネスにおける問題点を解説し、さらに、高くなる6つの要因とコミュニケーションコストを下げる具体的な方法について、詳しく紹介します。
目次
コミュニケーションコストとは
コミュニケーションコストとは、情報伝達や意思疎通の際にかかる時間や労力を意味します。例えば、部下が上司に対して、業務報告を行う際、部下の説明が明快でわかりやすく、短い時間でお互いが求める情報を交換できたとすれば、コミュニケーションコストは低いといえます。
反対に、部下の説明にまとまりがなく、上司が理解するのに長い時間がかかってしまった場合、コミュニケーションコストは高いといえるでしょう。つまり、コミュニケーションコストとは、「情報伝達や意思疎通が、どれだけ効率よく行われたかを表す指標である」といえます。
高すぎるコミュニケーションコストはビジネスの妨げに
コミュニケーションコストは、その値が高く感じられるほど、情報伝達や意思疎通に割かれる時間や手間が大きいことを指し示します。そのため、ビジネスの生産性を高めるうえでは、可能な限りコミュニケーションコストを下げることが肝要です。
具体例として、会社として新しく掲げた戦略を、トップダウン形式で各部署に落とし込む場面を想定してみましょう。コミュニケーションコストが低い傾向をもつ組織であれば、戦略の共有について、各レイヤーの理解が早いので、短時間で落とし込みを完了することができます。
一方、コミュニケーションコストが高い傾向をもつ組織の場合、各レイヤーで戦略に関する情報伝達や意思疎通に時間と労力が必要とされるので、落とし込みを完了するまでに長い時間がかかってしまいます。戦略の落とし込みに必要な期間が、前者は1週間・後者は2週間だとすれば、戦略の実施開始まで、両者で比較すると倍の時間的な差が生じることになるのです。
ビジネスの成長において、動き出しの速さは重要な要素のひとつです。速さに偏重した粗すぎるコミュニケーションもビジネスの成長を妨げる要因となりますが、かといって、コミュニケーションに時間や労力をかけすぎてしまうこともビジネスの成長を著しく低下させる恐れがあります。コミュニケーションコストが高すぎると感じられる場合は、積極的に是正措置を講じる必要があるといえるでしょう。
コミュニケーションコストが高くなる原因
コミュニケーションコストがビジネスの成長を妨げる要因となり得ることは、先に説明した通りです。ここからは、コミュニケーションコストが高くなる原因について、個人の性質に起因するパターンと、組織の風土や構造に起因するパターンの両視点から解説します。
個人の性質に起因するパターン
①理解力が乏しい
物事を理解する力、つまり理解力が乏しい場合、コミュニケーションコストは高くなりやすいといえます。1つの説明に対し、10の情報があったとして、理解力に優れた人は、1回の説明で10の情報を理解することができます。反対に、理解力が乏しい人は、1回の説明で5の情報しか理解することができず、残りの5の情報を理解するために、もう一度説明を繰り返してもらう必要があるのです。同じ量の情報だとしても、理解するまでに時間と労力が必要なので、それに比例して、コミュニケーションコストも高くなる傾向にあります。
②自分の話を優先する
コミュニケーションの際、自分の話を優先して話す傾向が強い場合も、コミュニケーションコストは高くなりやすいといえるでしょう。そもそも、コミュニケーションの目的は、共通のテーマにおける相互理解を深めることにあります。そのためには、テーマに対して、相手がどのような状態なのかを知ることが必要です。相手の状態を鑑みることなく、自分の話したいことばかりを話していては、相互理解を深めることはできず、結果としてコミュニケーションも不完全なものとなってしまいます。
そのような状況で、情報伝達や意思疎通を試みたとしても、相手からの一方通行な伝達だけで完結してしまい、テーマ上の相互理解はもちろん、聞き手側の意図や考えを伝えることができないので、必要な情報をコミュニケーションの中で共有できません。その場のコミュニケーションは早く終わるかもしれませんが、後になってトラブルが引き起こされ、その対応に追われるために、結果としてコミュニケーションコストの総量が上がってしまう恐れがあります。
③遠慮してしまう
コミュニケーションのとき、遠慮がちになってしまうこともコミュニケーションコストが高くなる要因のひとつです。何か物事を伝えるとき、相手に対して配慮ある態度を心がけることは円満なコミュニケーションにおいて大切ですが、それがいきすぎると、相手を立てるあまり「伝えたら相手に失礼なんじゃないか……」と、遠慮する傾向が強く出てしまうことがあります。
遠慮がちになると、情報を伝えるときに遠回りをすることが多くなり、伝えたいことにブレが生じる恐れがあります。オブラートに包みすぎて、最も重要な「情報の本質」が隠れてしまうのです。コミュニケーションを正確かつ迅速に進めるためには、遠慮を捨て、本質から伝えることが重要となります。勇気のいることですが、配慮を忘れなければ、快活なコミュニケーションとして、相手に受け入れてもらえるはずです。
組織の風土や構造に起因するパターン
①コミュニケーションが取りづらい雰囲気
コミュニケーションが取りづらい雰囲気の組織は、コミュニケーションコストが高くなりやすいといえます。1回のコミュニケーションにかかる従業員の精神的な負担が大きく、必要な情報が共有されにくいせいで不要なトラブルが発生しやすいからです。オフィスにある程度の緊張感は必要ですが、話しかけるだけでストレスがかかるほど重苦しい雰囲気である場合、当然、コミュニケーションの活性化は望めないので、情報共有の範囲も縮小していきます。
また、フランクに話しかけることが許されない状況だと、怒られないために入念な準備をしなければいけなかったり、話しかけるための勇気を備える時間が必要だったりと、さまざまな負担が従業員にかかるので、1つの情報伝達にかかるコストがそれだけ膨らむことになるのです。
②ナレッジマネジメントが機能していない
組織のナレッジマネジメントが機能していないことも、コミュニケーションコストを高くする要因のひとつです。ナレッジマネジメントとは、組織がそれまでに蓄えてきた知見や知識、つまり「ナレッジ」を、組織としてうまく活用できるよう、体系化することを意味します。ナレッジが組織内に共有されていれば、そのナレッジについて、改めて情報伝達や意思疎通を図る必要がなくなり、共有されていることを前提として、コミュニケーションが行えるのです。
例えば、会社内に複数の営業部が存在するとして、営業部全体のプロジェクトを発足する場合、各営業部が所有するナレッジにばらつきがあると、まずはそのばらつきを調整するコミュニケーションから開始しなければいけません。効率的な資料作成に関するナレッジがあるとして、一部の営業部しかそのことを理解していない場合、全体の足並みを揃えるためには、まず理解していない営業部に情報共有を行うところからスタートする必要があります。一方で、各営業部にナレッジが共有されていれば、効率的な資料作成を身につけていることを前提としてプロジェクトを進めることができ、その分コミュニケーションコストも減るというわけです。
③従業員のリテラシーレベルが均一でない
従業員のリテラシーレベルが均一でない場合、コミュニケーションコストは高くなりやすいといえるでしょう。「リテラシーレベルが均一でない」とは、コミュニケーションのテーマとなる分野に関する知識のレベルが、人ぞれぞれ異なる状況を意味します。例えば、経験年数10年以上のプログラマーと、プログラミングをはじめてまだ数ヶ月の人とでは、保有する知識量がまったく異なるということです。
このような状況においては、知識の多い人が知識の少ない人に合わせて、情報の切り出し方などを検討する必要があります。相手が知らない領域の話をしても、話が通じずコミュニケーションが進まないからです。つまり、「教育」からコミュニケーションを進めなければいけない、ということもできます。それを前提とした企画や組織体制なのであれば必要なコストであるといえますが、例えば、プロジェクトを遂行する現場においては教育の余裕がないケースも多く、できるだけコミュニケーションコストを下げて、効率よくプロジェクトを進めていきたいと考えているはずです。そのような状況において、リテラシーレベルの不均一による教育のコストは、円滑なコミュニケーションにおいて、避けておきたい因子のひとつといえるでしょう。
コミュニケーションコストを下げる方法
前段では、コミュニケーションコストが高くなる原因について、個人と組織の両視点から解説しました。ここからは、それらの原因を踏まえたうえで、コミュニケーションコストを下げるためには、どうすればよいのか?について、同様に個人と組織の両視点から解説します。
個人視点
①相手の話を聞く
個人視点の1つ目は、相手の話を聞くことです。コミュニケーションコストが高くなる原因として、自分の話を優先してしまうことを挙げました。「相手の話を聞く」という意識をもつことで自分の話を優先する傾向が減り、その結果、お互いが伝えたいことを伝え合える正しいコミュニケーションが実践できます。コミュニケーションがスムーズに運ぶことで、それに必要なコストも減っていくでしょう。
また、理解力の乏しさから、コミュニケーションコストが高くなってしまう場合にも、このコツは効果的です。相手の話を理解できないと感じたとき、単純に相手から共有されている情報が不足しているだけの場合があります。しっかりと相手の話を聞くことで、足りなかった情報が補完され、実は簡単に理解できる可能性も十分にあるのです。自分のことばかりを話してしまいがちな方や、理解力に自信がもてないという方は、まず、相手の話を聞くところからはじめてみましょう。
②話を整理して伝える
2つ目は、話を整理して伝えることです。話を整理して相手に伝えることで、相手がすばやく内容を理解してくれるので、コミュニケーションに必要な時間を短く抑えることができ、かかる労力も少ないもので済ませられます。
話の整理の仕方については、「PREP法」や「5W1H」といった話法を活用するのがおすすめです。PERP法とは、話の冒頭に結論(Point)を述べ、その後に、理由(Reason)・具体例(Example)と展開していき、最後に改めて結論(Point)を述べるといった、話の構成の仕方を意味します。PREP法においては、聞き手は話の結論から知ることができ、かつ、その理由や具体例を既知の情報である結論を支える要素として聞けるので、話の内容を頭の中で整理しやすくなります。そのため、話し手としても、円滑に情報伝達が行えるというわけです。
5W1Hとは、情報伝達の際に重要度が高いとされる6つの情報を、テンプレート化したもので、その6つとは以下の通りです。
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
これらを網羅できるように相手へ情報を伝達することで、漏れなく効率的に情報伝達が行えます。やり取りの往復が減り、コミュニケーションのスマート化が期待できるでしょう。
相手に話をわかりやすく伝えることについて、より掘り下げて理解されたい方は、以下の「ロジカルコミュニケーション」の記事もおすすめです。
③話しかけやすい雰囲気を心がける
3つ目は、話しかけやすい雰囲気を心がけることです。話しかけにくい雰囲気を身にまとっていると、それだけで相手にプレッシャーを与えてしまいます。他の従業員から、コミュニケーションを取りにくい相手と認識されれば、情報共有も密には行われなくなり、ナレッジマネジメントの体系化の阻害や、共有不足を原因とするトラブルの発生など、コミュニケーションコストを下げるにあたって、さまざまな不都合が生じてしまうでしょう。
忙しい状況であっても、話しかけやすい雰囲気をまとうことを心がけ、コミュニケーションが取りやすいビジネスパーソンを目指しましょう。
組織視点
①専用ツールを活用する
組織視点の1つ目は、コミュニケーションの効率化に役立つ専用ツールを活用することです。具体的には、ビジネスチャットや社内SNSなどのツールが挙げられます。専用ツールによってコミュニケーションを効率化することで、コミュニケーションコストを削減するという試みです。
例えば、いつも口頭でコミュニケーションを行っており、言った・言わないの問題が頻繁に発生している状況の場合、専用ツールを活用しそれらのやり取りをツール上で行う運用に切り替えることで、コミュニケーションの記録が残るようになり問題が解決されます。また、ツールによっては、組織のナレッジを効率よく蓄えておくことや共有することに特化したものもあり、それらを活用すればナレッジマネジメントの体系化も図れるでしょう。
②コミュニケーションのルールを定める
2つ目は、コミュニケーションのルールを定めることです。コミュニケーションコストを下げる方法として、個人視点のコツを紹介しましたが、これらはあくまでも個人の心がけを拠り所とするものです。ここで紹介するコツは、そうではなく、組織としてコミュニケーションのルールを定め、不要なコストを抑える取り組みになります。
例えば、「何かを伝えるときは結論から話すことを心がける」や「特定のコミュニケーションに関しては、テンプレートを設けて、漏れなく情報伝達ができるようにする」などのルールが挙げられます。ルールを定めることで、従業員ごとに、コミュニケーションの方法や姿勢のばらばらになってしまうことを抑えられます。コミュニケーションの前提認識を揃えられることで、スムーズな情報共有や意思疎通を図れるようになるでしょう。
③教育・研修の体制を整える
3つ目は、教育・研修の体制を整えることです。その対象は、コミュニケーションに限る必要はありません。従業員ごとのリテラシーレベルを均一化するために特定の分野について研修を実施することも、コミュニケーションにおける「教育」のステップを省略できるので、コミュニケーションコストの削減に繋がります。もちろん、コミュニケーションに関する教育や研修を実施することも有効です。個人視点でのコミュニケーションコストの削減が啓蒙されることで、組織全体のコミュニケーションコストが下がります。
ビジネスチャットでコミュニケーションコストを削減
コミュニケーションコストは、教育や研修などの狙いが含まれるケースを除けば、基本的に低いことが望まれます。本稿で紹介したコミュニケーションコストを下げる方法を参考に、コミュニケーションコストの削減に取り組まれてみてください。
また、それに際して、専用ツールの導入を検討されている方には、ビジネスチャット「WowTalk(ワウトーク)」の活用がおすすめです。WowTalkとは、法人利用向けの国産コミュニケーションツールです。サービスのリリース以来、運輸業や建設業、サービス業や銀行業など、幅広い業種のお客様にご利用いただいており、2021年3月には、おかげさまで累計導入社数10,000社を突破しました。
WowTalkでは、メインの機能となる「トーク機能」の他に、「共有(掲示板)機能」も備えています。この機能を活用することで、組織におけるナレッジマネジメントの体系化や、情報共有の効率化を実現することが可能です。さらに、ナレッジの横展開を実現することで、従業員のリテラシーレベルも均一化が期待できます。組織のコミュニケーションコストを、さまざまな側面から下げられるツールとなっておりますので、ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にお問い合せください。営業担当が、貴社の課題に合わせた活用方法を提案させていただきます。詳しい内容が掲載された製品資料も、下部フォームより無料でダウンロードいただけます。
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