LINEの業務利用にはどのようなリスクがある?事例付きで解説
日本国内での利用率が8割を超えていると言われる、メッセンジャーアプリ「LINE」(*1)。優れた利便性と高い普及率から、仕事で使っているという企業も少なくありません。しかし、LINEの業務利用にはさまざまなセキュリティリスクが懸念されます。
本記事では、LINEの業務利用で懸念されるセキュリティ上のリスクと、実際に起きたインシデントの事例を紹介します。「LINEを仕事で使っている(または使いたい)けど、セキュリティが不安。どんなリスクがあるのか知っておきたい」という方はぜひ参考にしてください。
*1:NTTドコモ, モバイル社会研究所, 2023年一般向けモバイル動向調査
目次
連絡手段として便利なLINE。日本国民の8割が使用
連絡手段として「LINE(ライン)」を使ったことがあるという方は多いのではないでしょうか。
「LINE(ライン)」は、LINEヤフー株式会社が提供・運営する日本のメッセンジャーアプリです。特にアジア圏でのシェアが高く、日本やタイ、台湾でサービスが普及しています。
NTTドコモ モバイル社会研究所が2023年1月に実施した調査(*1)では、日本におけるLINEの国内利用率は8割を超えているという調査結果が発表されており(※スマホ・携帯所有者のうち)、日本国民にとって、連絡用ITツールとしてひとつのインフラ化しているといっても過言ではないほど利用が浸透しています。
*1:NTTドコモ, モバイル社会研究所, 2023年一般向けモバイル動向調査
LINEを業務利用する企業は少なくない
シンプルな操作性で扱いやすいことに加えて、利用者が多く誰とでも繋がりやすいことから、多くのユーザーに利用されるLINE。
また、無料で使えるという点も大きなメリットです。
その利便性の高さと無料で利用可能というコスト面でのメリットから、仕事で使っているという企業も少なくありません。
パート・アルバイトとの連絡に使われるケースが多い
特に、LINEはパート・アルバイトと連絡を取り合う際に使われるケースが多くあります。
社員同士であれば会社からメールアドレスや携帯端末を貸与されているため、LINEを使わずともそれらを使って連絡を取り合うことが可能です。
しかしパート・アルバイトには貸与されない場合が多く、そのため社員とスタッフの間だったりスタッフ同士で連絡を取るための手段がありません。
かといってメールアドレスや端末の貸与は費用がかかる上に、管理コストも発生します。またレスポンスの速さもやはりチャットアプリのほうが速く、すぐにコミュニケーションが取れるので仕事の進みも早いです。
LINEであれば、誰もが使っていて素早く連絡が取れますし、企業側にコストもかかりません。パート・アルバイトとの連絡におけるさまざまな課題を、LINEが解決してくれるというわけです。
しかしLINEの業務利用はセキュリティ上の問題も多い
利便性が高く、コスト面でのメリットも大きいLINEですが、ビジネスでの利用は避けるべきとされています。その理由は、セキュリティを維持する上でさまざまなリスクが懸念されるためです。
ここからは、LINEの業務利用によるセキュリティ上のリスクについて詳しく解説します。
①誤送信のリスク
LINEの業務利用では、誤送信のリスクが懸念されます。プライベートの友人や家族に、誤って仕事の情報を送ってしまうというケースです。社内の情報ならまだしも、顧客や取引先に関する情報を誤って送ってしまったら、重大なインシデントです。
また、LINEはニックネームで登録されていることも多いので、宛先を勘違いして送ってしまう操作ミスも懸念されます。さらに、その手軽さゆえに、宛先や送信内容を十分に確認せずに送ってしまうこともありがちで、その点も誤送信のリスクを高めている要因のひとつです。
②情報の不正持ち出しのリスク
LINEを業務で利用している場合、情報を不正に持ち出されるリスクがあります。社用の端末やシステムは、セキュリティ保護のため外部と接続不可の状態にしておくことが理想です。
しかしLINEが業務で使える状況ということは、従業員が私用端末やプライベート用アプリにデータを容易に移行できることを意味します。
その状況だけでもセキュリティ上のリスクが非常に高い状態といえますが、加えて、LINEはプライベート用のアプリであるため、会社側でその利用履歴を確認できないという点も、情報の不正持ち出しリスクを高めている要因です。
例えば、従業員同士が普段からLINEで業務連絡をおこなっている場面を想定してみましょう。
日常のコミュニケーションと同様に、社内の機密情報をLINEでやりとりしていたとしても、会社側はその異変を察知することができません。
さらに、そのことが原因でインシデントが発覚した場合、調査時に従業員のプライベート用アプリまで調べることは難しいため、原因の特定が困難となる問題もあります。
③紛失・盗難時に対応できないリスク
紛失や盗難が発生した際に会社側で必要な対策を実施できない点も、LINEを業務で利用する場合に懸念されるセキュリティリスクのひとつです。社用端末であればそれらの事態が発生したとしても、管理者が遠隔操作によって端末のロックや内部情報の削除といった防止策を講じることができます。
しかしプライベート用のLINEで業務連絡をおこなっていた場合、従業員の私用端末を遠隔操作することはできないため、会社側は紛失や盗難の発生時に必要な対策を実施できません。
端末が悪意ある第三者に取得されれば、その中にある情報は抜き取られ放題となります。
LINEの業務利用による情報漏えいの事例:佐賀県庁の例
LINEの業務利用による情報漏えいの事例として、佐賀県庁で起きた事案を紹介します。
2021年7月に佐賀県庁で、職員がLINEで個人情報を誤送信した事案が発生しました。統計調査の調査員が5名分の個人情報を含む内容を宛先を誤ってLINEから送信したとのことです。
本来であれば調査員から県担当者への報告には専用システムまたは電話を用いるルールでしたが、LINEで実施し、その際に誤った宛先に送信してしまったそうです。
これを受けて佐賀県庁は再発防止策として、調査員に対して収集した調査情報の県担当者への報告は専用システムまたは電話でおこなうことを改めて周知・徹底することを発表しました。
URL:https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00381667/index.html
ビジネスには専用のチャットアプリがおすすめ
LINEの業務利用には、情報保護の観点からさまざまなリスクが伴います。
LINEはあくまでもプライベート用のチャットアプリです。佐賀県庁の事例が示す通り誤送信などのリスクがあるため、ビジネスでの利用は避けたほうがよいでしょう。
業務でチャットアプリを使うのであれば、専用の「ビジネスチャット」を利用するのがおすすめです。
ビジネスチャットはプライベート用チャットアプリのビジネス版で、管理者がライセンスを一元管理するためインシデント発生時も企業側で対策を講じることができます。
また、「利用ログの取得」や、「機能やアクセス環境の制限」といったセキュリティ機能も充実しており、従業員が安心してコミュニケーションできる環境が構築可能です。
累計導入社数1万以上のビジネスチャット「WowTalk」
社内コミュニケーションツールをお探しの方におすすめなのが、ビジネスチャット・社内SNS「WowTalk(ワウトーク)」です。
WowTalkは「誰でも簡単に扱えるシンプルな操作性」と「法人向けの管理機能」を兼ね備えたチャットコミュニケーションアプリです。
2014年のリリース以降、幅広い業種の企業に利用され、累計導入数は10,000社を突破。セキュリティが厳格な銀行業や大手企業でも導入されており、実績が豊富です。
「セキュリティを維持しつつ、チャットでリアルタイムなコミュニケーションを実現したい」という企業にはピッタリのチャットアプリとなっているため、LINEの業務利用にお悩みの方はぜひ導入を検討されてみてください。
※ワウテック株式会社は2023年9月1日にグループ会社であるキングソフト株式会社と合併いたしました。