生成AIでよく聞く「チャンク」って何?-開発担当に聞いてみた-

AIの技術が進化する中で、「チャンク」という言葉を耳にすることがあります。特に大規模言語モデル(LLM)やRAG(Retrieval Augmented Generation)のようなAIシステムにおいて、検索精度と効率性を大きく改善する可能性を秘めています。本記事では、このチャンク化のメリットと、WowTalk AIの新機能「引用チャンク表示」がAIの信頼性確保と運用効率化にどのように貢献するのかを、開発担当にヒアリングし、詳しく解説します。
目次
最近よく聞く「チャンク」について教えてください。
「チャンク(Chunk)」とは、情報を細かく分割した塊を指します。AI、特に大規模言語モデル(LLM)やRAG(Retrieval Augmented Generation)においては、このチャンク化が非常に重要な役割を果たすのですが、一般的な理解として「チャンクとは何か」というよりも、「なぜチャンクを使うのか」「どのような目的やメリットがあるのか」が重要となってきますね。
-なぜチャンクが必要なのですか?
企業内の情報など、インターネット上にはない社内データからAIが回答を生成する場合、RAGという技術が用いられます。RAGはざっくり言うと主に「検索」と「生成」の2つの技術から成り立っていて、検索はAIが質問に対して回答するために、元のデータの中から必要な情報を見つけ出すプロセスですね。例えば、「うちのレストランの冷房の設定温度は何度が快適かな」って思ったときに、これはインターネット上に広く知られている情報ではなくて、社内マニュアルに掲載されていると思うのですが、その中から特定のエアコンの最適温度やそれに付随した情報を見つけることです。
生成は検索で見つけ出した情報を元に、人間が理解しやすい形で回答を生成するプロセスになります。エアコンの温度だけではなくて、スイッチの場所だったり設定方法をAIが質問者に対して教えてあげようとするのが生成ですね。チャンクはAIが効率的に必要な情報を探し出し、より的確な回答を生成するための基盤となります。各ベンダーが色々工夫が出来るポイントでもあり、WowTalk AIでも当社独自アルゴリズムで最適化された分割法を利用してます。
-チャンク化のメリットってズバリ何でしょうか?
一番のメリットは最終的なアウトプットの品質の向上ですね。情報を正確に分割して、さらにカテゴリ分けすることで、AIが不要な情報にアクセスすることなく、効率的に関連情報を見つけ出すことができます。先ほどのエアコンで例えると、エアコンの温度に関する質問に対して、チャンク化しておくことでAIが質問とは無関係な情報(人事規定や経費精算の手順マニュアルなど)まで探しに行く必要がなくなります。
あとは、情報の更新・メンテナンスが容易になります。どのようなアルゴリズムで実現するかにも依存しますが、データ全体を一括で管理していると、わずかな修正でも全体のアップデートが必要になってきますけど、チャンク化されていれば、変更があった部分だけを更新したりすることで、効率よくメンテナンスが出来ます。
AIは実はゼロから何かを生み出すよりも、既存の情報の「分類」や「要約」を得意としているので、チャンク化された複数の情報を受け取ったAIは、それらを基に文脈を理解し人間が手間をかけることなく最適な回答を生成できます。
WowTalk AIの新機能「チャンク表示」について教えてください。
WowTalk AIの「引用チャンク機能」は、AIが回答を生成する際に、どのチャンク(元の文書のどの部分)を参照したのかをユーザーに提示する機能です。
-この機能の目的とメリットは何でしょうか?
WowTalk AIのユーザーと管理側の両者にメリットがあると考えていて、ユーザーからすると「ユーザーへのヒント提供・回答の信頼性向上」です。AIが回答を作成する際に「元の文章のどの部分」を参照したのか、使われたのかをユーザーが確認できます。そのため、記述が足りない、または情報量が多すぎるなどの改善点を発見しやすくなり、「どのように元の文章を変更すれば、AIがより正確な回答を生成できるか」というヒントを得ることができます。
管理側のメリットとして「AI運用側のフィードバック」に繋がります。 文書作成を担当している方に着目すると、改行や段落分けなどを駆使して、AIにどの情報とどの情報が別の概念であるかを教えるような文書作成を実施することで回答精度に対する改善点の一つのアプローチを提供できている、というメリットがあると思います。
この機能は、ユーザーからの要望に加え、高い品質・精度で顧客の課題を解決していきたいという開発の強い想いも相まって、WowTalk AIのコンセプトとして、AIの回答精度を高め、継続的な運用を通じて顧客の課題解決を支援するという目的のもとで開発されました。AIは最初から完璧な回答を出すのではなくて、運用を通じてユーザーの質問傾向や必要な情報を学習していくため、この引用チャンク機能はその運用を効果的に行うための重要な手段となります。ぜひ、皆さんWowTalk AIを使ってみてください。
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