日報とは?書く意味やメリットを解説。書き方もテンプレート付きで紹介
「会社で日報を書いている」というビジネスパーソンは多いのではないでしょうか? 日報とは、1日の業務内容を報告するための報告書類です。ビジネスの場で当然のごとく浸透している日報ですが、その必要性やメリットについて深く理解している方は、意外と少ないのではないでしょうか。
そこで本稿では、会社の日報をテーマに、書くことの目的や意味、もたらされるメリットなどについて、深く掘り下げていきたいと思います。さらに、日報の書き方や作成方法の種類といった、ビジネスの実践で役立つ情報も紹介していきますので、企業の日報について体系的に深く知りたい方はもちろん、「実践的なメソッドを学びたい」という方もぜひ参考にしてください。
目次
日報とは、その日の仕事を報告する書類
日報とは、その日に行った業務の内容を取りまとめた報告書類の一種です。一般的には、業務終了時間の直前に作成し、上司を宛先として提出することが多く、職種や業務内容によっては、「営業日報」や「業務日報」といったように、名称や内容が変わることもあります。
日報を書くことの意味や目的
会社はなぜ、日報の提出を社員に命じるのでしょうか? 会社は、利益の最大化を目的とする組織なので、利益に繋がらないことは無駄なものとして避けようとするはずです。その会社が業務として日報の提出を命じるということは、つまり、会社は日報を無駄なものと認識していないということがいえます。
そして、会社が社員に日報を提出させる理由は、会社にとってさまざまなメリットが存在しているからです。次のセクションからは、日報のメリットについて、部下・上司・会社という3つの視点から解説します。「なぜ、日報を書かなければならないのか」「日報にどのようなメリットがあるのか」といった疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
日報を書くメリット(上司の視点)
上司は、部下から日報を受け取る立場の人間です。上司が部下の日報を読むことには、主に2つの大きなメリットがあります。それぞれについて、解説します。
チームマネジメントの最適化
1点目は、チームマネジメントの最適化に役立つことです。上司は、チーム全体の業務を管理する責任を背負っています。効率が低下しないよう、人材配置の最適化を常に図っていく必要があり、そのためには、それぞれが、「どのような業務」を、「どれくらいの量で担当しているのか」、「進捗はどうなっているのか」など、全体の状況を把握することが重要です。
部下の日報を読むことで、業務内容や所感から、部下の業務状況を推察することができ、チームマネジメントに活かすことができます。例えば、特定の部下の業務量がパンク気味の様子なら、その業務を別のメンバーにあてがったり、進捗が遅れているタスクがあれば、そこに人員を投下したりなどの、人材配置において有効な対策が講じられるのです。
部下の育成
2点目は、部下の育成に役立つことです。部下を正しく育成するためには、部下の業務状況とモチベーションの状態を、しっかりと把握することが重要です。日報では、この2つの情報をキャッチアップすることができます。「業務内容」や「タスク進捗」の項目から、部下に任せている仕事の状況を知ることができる他、「所感」や「今日の気づき」といった項目から、部下の心理状態を窺い知ることが可能です。
例えば、所感の欄に「今日のプレゼンでは、〇〇の知識が足りていなかった。自己学習を進めていきたい」と記載されていた場合、上司が自らの知見を用いて、もっと効率的な学習方法を部下に提案したりすることができます。
また、文面の表現にモチベーションの低下が見られる場合、上司が自ら部下に接触して、その原因を探ることも可能です。日報は毎日提出するものなので、仕事の中で何か変化があれば、日報にも変化が表れます。「以前は前向きなコメントが多かったのに、ここ最近は淡白なコメントが多い。業務内容の変化で、モチベーションが下がっているのかもしれない」といったように、日報から、部下のモチベーションの変化を感じ取ることができるのです。
日報を書くメリット(部下の視点)
部下の立場にある人にとって、日報を書いて提出することは、どのようなメリットをもたらすのでしょうか。提出している人の中には、「会社が指示するから仕方なく書いて提出している」「上司のためのものであって、部下にとってメリットなんてないんじゃないか」といったように、日報を書くことにメリットを感じていない方も多いかもしれません。
実は、提出する立場にある部下の視点から見ても、日報には大きなメリットが存在しています。主な2つのメリットについて、紹介します。
業務の整理ができる
1点目は、業務の整理ができるようになることです。日報を書くことで、自分の仕事を振り返る機会を得られます。「どの業務をどれくらいの速さで行えたのか」、「明日はどの業務を行わなければならないのか」など、日報を書くことが、自分の業務状況や仕事の進め方について振り返る機会となるのです。
この振り返りによって、自分の仕事を俯瞰的に捉える力が養われ、「業務全体をどのように最適化すればいいのか」が見えるようになります。業務を効率よく進めるための手順がわかったり、実は無駄な業務があったことを発見できたりと、業務整理に役立つさまざまな気づきを、日報から得ることができるのです。日報を通じて自分の仕事を振り返ることで、業務整理をより高い精度で行えるようになり、業務全体の最適化を図れるようになります。
自己成長につながる
2点目は、自己成長につながることです。日報を書くことによって、1日単位で仕事を振り返ることができるようになります。仕事の進め方や向き合い方について、そのPDCAサイクルを1日という短いスパンで回せることで、自己成長をより早く促すことが可能です。
また、日報を受け取った上司からアドバイスを受けることができるので、PDCAの「計画」の精度向上といった効果も見込めます。計画の精度が向上すれば、行動や修正も高いレベルで実施できるようになり、さらに効率よくPDCAサイクルを回せるようになるでしょう。PDCAサイクルの精度が向上すれば、それだけ自己成長の促進にもつながります。
日報を書くメリット(会社の視点)
続いて、会社の視点から日報を書くことのメリットを2つ解説します。
ナレッジの共有
1点目は、ナレッジの共有を実現できることです。ナレッジとは、会社という組織が、それまでに蓄積してきた知見や経験を意味します。従業員が日報を書き、上司やチームメンバーに提出することは、それぞれの従業員が得たナレッジを会社内で共有することにつながります。「営業活動で、〇〇の対応が顧客に刺さった」「ある課題に対して、〇〇の対応が有効だった」といったように、日報を通じて、従業員の成功体験を組織全体で共有することが可能です。会社にとって、蓄えてきたナレッジは貴重な「資産」といえます。日報は、ナレッジという貴重な資産を、最大限に活用するためのツールとして機能してくれるのです。
イノベーションの促進
2点目は、イノベーションの促進が期待できることです。会社をよりよくする革新的なアイデアとは、会議やデータ分析からのみ生まれるもの、というわけではありません。従業員の何気ない疑問や所感から生まれることも多くあります。
日報は、イノベーティブなアイデアを拾い上げるためのツールとして活用することができます。なぜなら、意見や物事の見方に客観性が強く求められる「会議」や「報告資料の作成」などのシーンに比べて、日報は、表現の自由度が高く、従業員が“思いついたこと”や“気がついたこと”を気兼ねなく書けるためです。「〇〇が使いにくく感じた」「こうだったらいいなと思った」といったように、従業員は思いつきや気づきを主観的に書くことができます。会社は、これらの意見をヒントに、サービスや業務の改善に役立つアイデアを創出することができます。日報によって、従業員の定性的なコメントを拾い上げられることで、会議や報告資料では挙がりにくいような、イノベーションに役立つさまざまな意見を集約できるというわけです。
日報の書き方
ここまで、日報の概要やメリットについて詳しく説明してきました。ここからは、日報の具体的な書き方について、解説していきます。
日報の基本的な項目
まず始めに、日報は自由記入ではなく、設定された項目に沿って記入することが一般的である点を押さえておきましょう。完全に自由記入だと、書き手は何をかけばいいのか戸惑いやすいですし、確認する人にとっても、書き手によって様式が異なると確認に手間がかかってしまうので非効率です。
では実際に、「どのような項目を設定すればよいのか?」について、日報の基本的項目は、以下の5つが一般的とされています。
- 業務内容
- 数値進捗
- タスクの進捗状況
- 活動の所感
- 翌日の行動予定
これらの項目を設定することで、従業員の1日の行動や業務内容といった、日報に必要とされる情報を網羅することができます。
基本項目をそのまま運用に落とし込んでもよいですが、これをベースとして、業務の特性や部署の状況に合わせて項目をアレンジできると、なおよいでしょう。例えば、営業部の場合、「タスク進捗」の代わりに「案件進捗」という項目があってもいいかもしれません。日報を通じて、各案件の進捗状況を上司に共有することができ、案件に対する行動の最適化を、1日単位という短いスパンで図ることができます。
書き方のポイント
日報の効果を最大化するためには、書き手側が「書き方のポイント」を押さえておくことも重要です。「日報の上手な書き方がわからない」「いつも作成に時間がかかってしまう」という方は、下記5つのポイントを意識して日報を書いてみましょう。
- 日報の目的を理解しておく
- 必要に応じて箇条書きを活用する
- 具体的に書く(数字を用いる)
- 1日の終わりにまとめてかかない
- テンプレートを作成しておく
これらのポイントを押さえておくことで、日報のクオリティを高められるだけでなく、効率的に作成できることで、作成時間の短縮といった効果も見込めます。
日報のテンプレートと例文
これまでに紹介した「基本的な項目」と「書き方のポイント」を実践した場合にどうなるのか、テンプレートと例文の形式で紹介します。
営業部Aさんの日報(テンプレート・例文)
■ 業務内容
・〇〇社との商談に向けた資料作成
・営業部定例会議(10〜12時)
・架電顧客リスト作成(10件)
・各案件メール対応
■ 数値進捗
アポ獲得数:5 / 15(達成率33%)
商談数:1 / 3(達成率33%)
受注金額:170,000 / 500,000円(達成率14%)
■ 数値進捗
アポ獲得数:5 / 15(達成率33%)
商談数:1 / 3(達成率33%)
受注金額:170,000 / 500,000円(達成率14%)
■ 活動の所感
先日、プレゼンを行なったXX社より、次回商談の連絡を頂戴しました。コンペ案件のため、競合比較を織り交ぜながら丁寧なプレゼンを心がけた点が功を奏したものと思われます。受注に向けて、再度プレゼン内容の精査と資料の作り込みを行なっていきます。
■ 明日の予定
・〇〇社へ往訪(14時,東京駅)
・担当者打ち合わせ(17時,社内)
日報の作成方法4選
日報の作成方法は、大きく4つの手段が想定されます。それぞれの特徴について紹介します。
紙
1つ目は、紙を利用した方法です。専用の用紙に、手書きで記入して提出します。提出方法は、上司に手渡しで渡したり、設置された提出用のボックスに投函したりなど、さまざまなやり方があります。
この方法のメリットは、日報の提出者が、PCやメールアドレスを持っていない状況でも運用が可能なことです。例えば、業務の特性上、全ての従業員がPCを使うことはできなかったり、スタッフの多くがアルバイトで、PCもメールアドレスも持っていなかったりなどの状況においても、紙を使った日報であれば、問題なく運用を行うことができます。
一方、デメリットは、管理に大きな手間がかかることです。提出された日報を保管するためにスペースを確保する必要がある他、拠点が複数ある場合、日報を回収するために、郵送手続きが必要となる場合もあり、日報という制度自体の運用や管理に大きな手間がかかります。また、日報の提出や確認にあたって、場所的な制限がかかることもデメリットのひとつです。特定の場所に、提出者や確認者自身が赴かなければいけないので、日報のために、出社や帰社といった移動を強いられてしまうケースがあります。
メール
2つ目は、メールに直接書いて提出する方法です。宛先に提出先のメールアドレスを入力し、メッセージ本文に報告内容を記入して提出します。
この方法のメリットは、2つあります。1つ目は、日報の提出や確認に場所的な制限を受けづらい点です。端末とネットワークさえあれば、どこからでも提出したり確認したりすることができます。例えば、帰宅途中の電車の中で日報を書いたりすることも可能です。メリットの2つ目は、対応端末の制限がない点です。例えば、専用アプリやOfficeソフトを日報に利用する場合、従業員が利用している端末が、そのファイル形式や仕様基準に対応している必要があります。Officeソフトをインストールしていなかったり、端末の仕様上、専用アプリのインストールができなかったりすると、「ファイルを開けない」「そもそもインストールできない」などといった、日報の運用において致命的な問題が発生してしまう恐れがあるのです。その点、メールに直接書いて提出する方法であれば、大抵の端末はメールを利用できるので、こういった問題に左右されることなく、日報を運用できます。
デメリットは、メールアドレスを所有していない従業員の日報に対応できないことです。「共有PCから氏名記載のうえ提出してもらう」、「所有していない人は手書きで提出してもらう」など、別途の対応策を講じる必要があります。
Word(ワード)やExcel(エクセル)
3つ目は、ワードやエクセルといったOfficeソフトを利用した方法です。日付ごとにファイルやシートを作成し、メール添付や指定フォルダへの格納といった方法で提出します。
この方法のメリットは、様式の自由度が高く、保管性に優れている点です。Officeソフトが備えている「表作成」や「色付け」などの機能を利用することで、運用方法に合った様式に日報をアレンジすることができます。また、日報ごとに1つのファイルを生成する形になるため、フォルダ分けがしやすく、日報を整理した状態で保管できる点もメリットのひとつです。
デメリットは、日報の対象となるすべての従業員が、Officeソフトを利用できる端末を所有していなければならないことです。紙やメールでの運用に比べて、環境面を整備するハードルが高い方法といえます。
専用ITツール
4つ目は、日報を作成するために作られた専用のITツールを利用する方法です。専用のITツールは、日報を軸としたサービスから、機能のひとつとして日報機能を備えているサービスまで、さまざまな種類があります。
この方法のメリットは、大きく分けて2つです。1つ目は、制度運用を大きく効率化できる点です。専用ツールとしてシステムが構築されているため、日報制度を効率よく運用するために役立つ機能が豊富に備わっています。サービスによって異なりますが、例えば、入力テンプレートをワンタップで出力できる機能や、マルチデバイス対応でスマートフォンから確認や提出が行える機能などが備えられています。
メリットの2つ目は、日報のメリットを最大化できる点です。先に説明した通り、日報にはさまざまなメリットがあります。チームマネジメントの最適化や自己成長の促進、ナレッジ共有の実現などです。専用のITツールは、これらのメリットをより効率的に享受できるようにシステム設計がなされています。例えば、日報の入力数値を自動でグラフ化し進捗状況を可視化できる機能や、日報の共有範囲を管理者が自由に設定できる機能など、日報の資産価値を最大化するための仕組みが作られています。また、UI(ユーザーインターフェース)においても、日報の利用に即した形が採用されているので、社内に利用を浸透させるのが容易く、その他の方法と比較して、運営の負担も少ないもので済みます。
このように、運営の負担を最小限に抑えつつ、得られるメリットを最大化できる点は、専用ITツールを活用する方法の大きな強みです。
デメリットは、コストがかかることです。こういった日報専用のITツールは、月額で利用料を支払うサブスクリプション型のサービスが主流で、使用している間、コストを払い続けなければなりません。また、サービスによっては、数万〜数十万円の初期費用がかかる場合もあります。専用のITツールを利用する場合は、これらのコストと享受できるメリットを天秤にかけて、費用対効果に問題がないかどうか、検証する必要があるでしょう。
日報が書けるビジネスチャット「WowTalk」
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