テレワークの導入手順とは?8ステップを解説!企業の導入率も紹介
昨今、テレワークを導入する企業は増え、働き方としても定着してきました。しかし、中にはまだテレワークの導入が進んでいない場合やテレワークを導入する際のプロセスがわからないといった企業も多いのではないでしょうか。
この記事ではテレワークの導入を検討している企業向けに、テレワークを導入する流れや、企業の導入率、よくある課題の解決策などを解説します。お読みいただくことで、テレワークを導入するための全体像が理解でき、必要な準備や行動がわかります。
テレワークを導入する際に、ぜひお役立てください。
目次
テレワークの導入手順|8つのステップ
テレワークを導入する手順は全部で8つのステップに分けられます。それぞれ解説します。
①テレワークを導入する目的を明確にする
まずはテレワークを導入する目的を明確にしましょう。ゴールから逆算することで、目的を達成するための道筋が明らかになります。たとえば、業務の効率化、生産性の向上、雇用の見直し、固定費の削減などがあげられます。
テレワークの導入はこれらの目的を達成することに意味があります。そのため、ぐれぐれもテレワーク導入がゴールとならないように気をつけてください。自社が得たい効果は何なのかを明確にすることが大切です。
②プロジェクトチームを発足する
テレワークを導入する目的を明確にすると、次は推進体制を構築します。具体的には、テレワークを推進するためのプロジェクトチームを発足し、導入が円滑に進む体制を整えます。
プロジェクトチームは社内の各部署がテレワークの意義を理解することも目的です。そのため、メンバーはテレワークを導入する対象部門以外にも、経営企画部門、経営システム部門、総務・人事部門などで構成しましょう。
③現在の状況を把握する
プロジェクトチームを発足すると、次は現状の把握です。たとえばテレワークを導入する際には、既存の人事評価制度や就業規則の変更も必要となるので、改めて確認が必要です。特にテレワークを導入すると、評価制度や就業規則の変更は明確にしておかないと、後々トラブルになる可能性があります。
評価制度に関しては、勤務態度を上司が確認できないため、社員によっては長時間労働を行ってしまい、労働基準法に定められた勤務時間を超えてしまう場合もあるでしょう。また、社員の評価は勤務態度ではなく、成果物で判断するなどの変更も必要です。
その他、確認が必要なものは以下のとおりです。
- 就業規則
- 勤怠管理
- 人事評価制度
- 給与制度
- ICTツール環境
- セキュリティ面
これらはテレワークを導入してから混乱を招かないように、早めに確認しておきましょう。
また、テレワークではセキュリティ面の確認は必須となります。オフィスで働く場合と比べても、細かいツール策定や意識の徹底が求められます。現在はどういう状況なのかを確認しておくことが重要です。
④導入に向けて具体的なルールを作る
現状の把握ができると、次は導入に向けて具体的なルールを作りましょう。たとえば、決めるべきルールには以下のようなものがあります。
- テレワークの形態や頻度
- 電子化すべき紙書類
- 勤怠管理
テレワークの形態には「在宅勤務」「サテライトオフィスワーク」「モバイルワーク」などがあります。それぞれ各部署に最適な形態を選びましょう。頻度については最初は週に1〜2回を目安にトライアルとしてスタートすることをおすすめします。
また、テレワーク化のために書類の電子化は必須条件です。そのため、見積書や稟議書を紙ベースで作成し、回覧や捺印が必要な状況だと、せっかくテレワークなのに出社が必要になるケースも出てくるでしょう。
テレワークを導入し生産性の向上や業務の効率化をはかるためには、書類の電子化を欠かすことはできません。ただ、いきなりすべての書類を電子化にすることはハードルが高いので、優先的に紙の書類から電子化にできそうな書類から決めていきましょう。
その他、勤怠管理についてもルールを策定しましょう。勤怠管理については、現場の就業管理方法を確認したうえで、テレワークに関する就業規則を盛り込みます。
その際は、「テレワーク勤務規定」という制度を新たに設ける方法と、就業規則に直接手を加える方法があります。それぞれ、個別の手続きを踏む必要があることに注意してください。
勤怠管理の中でも出勤・退勤などの時間の報告のルールも重要になります。たとえば、チャットやメールで逐一連絡する方式を採用したり、エクセルや勤怠管理システムを導入したりして就業時間を記録する方法があります。
申請や承認方法についてもルールを決める必要があるので、合わせて確認しておきましょう。
⑤テレワークに必要なICT環境を整備する
続いて、テレワークに必要なICT環境を整備しましょう。業種や業界によっても必要なツールは若干異なりますが、基本的には以下のツールが必要です。
- Web会議システム
- テレビ会議システム
- チャットツール
- グループウェア
- 勤怠管理ツール
- タスク管理ツール
- ペーパーレス化ツール
- セキュリティソフト
ほとんどの場合、上記のツールを整備することでテレワークの業務を行えます。たとえば、複数人でリアルタイムのミーティングを行ったり、コミュニケーションを取ったりする場合は「Web会議システム」「テレビ会議システム」を使います。
業務上のコミュニケーションやファイルの共有などは「チャットツール」などを使い、勤怠管理には「タスク管理ツール」や「勤怠管理ツール」を使います。また、先にも述べたとおり、紙の書類を電子化するためにペーパーレス化ツールも必要です。
加えて、テレワーク導入においては、PCの盗難防止や、不正アクセス、ウィルス感染を防ぐためにセキュリティソフトの導入も欠かせないでしょう。
⑥試験導入を行う
本格的にテレワークを導入する前に試験導入を行います。なぜ試験導入を行うのかというと、いきなりテレワークを導入すると想定外の問題が発生した場合、対応に時間がかかる可能性があるからです。
そのため、まずは試験導入を行い、浮き彫りになった課題を解決してから本格的な導入を行います。
その結果、後になってから深刻な状況やトラブルを防ぐことができます。具体的にはテレワークのトライアルを行い、万が一のトラブルが発生した場合のサポート体制も整えましょう。期間は3〜6ヶ月くらいが目安で、期末前や繁忙期を避けて運用することがポイントです。
⑦効果測定を行い、改善する
次は試験導入の効果測定を行い、改善していきます。ここではトライアルのテレワーク試験導入で浮き彫りになった問題点を洗い出し、解決に向けて改善策を実行します。試験導入時には予期せぬトラブルが起こることは多々あります。
場合によってはセキュリティ面の問題が発生し、話が進まない場合もあるでしょう。しかし、基本的には効果測定の結果を見て改善を繰り返し、テレワークの本格導入へと進めます。
⑧テレワークを本格導入する
試験導入を行い、効果測定、改善が終わるといよいよ本格導入です。ただし、テレワークの本格導入を行った後も、常にPDCAサイクルを回し、最適化していくことが求められます。
テレワークの目的はあくまでも「生産性の向上」や「雇用の見直し」「固定費の削減」などの達成にあります。実際の数値や実績、社員の定着率などを確認しながら評価を行いましょう。
企業のテレワーク導入率はどれくらい?
出典:令和2年通信利用動向調査の結果|総務省
全業種でテレワークの導入は進んでいますが、特に産業別では「情報通信業」の約9割が導入しており、その他「不動産業」や「金融・保険業」も全体の約7割が導入しており、割合が高いといえるでしょう。
昨今、企業のテレワーク導入率は飛躍的に伸びてきています。総務省の通信利用動向調査によると、企業におけるテレワークの導入比は令和2年と令和元年を比べて、倍以上になっています(※1)。
また、導入しているテレワークの形態は「在宅勤務」が約9割を占めており、7割以上の企業がテレワークを導入したことで効果があったと答えています。
反対に、テレワークを導入しない理由は、「テレワークに適した仕事がないから」という回答が8割を占めるという結果になりました。
テレワーク導入のよくある課題と解決方法
実際にテレワークを導入した際には、以下のような課題が発生します。
- コミュニケーションが希薄になる
- マネジメントが難しくなる
- セキュリティリスクへの対処
それぞれ解決策と合わせて解説します。
コミュニケーションが希薄になる
テレワークの場合、同僚や上司と顔を合わせる回数が減り、コミュニケーションが希薄になるという課題があります。
実際、テレワークを導入したことで、コミュニケーションが減り、メンタル不調に陥ったり、業務が思うように進まなかったりという問題が発生する恐れがあります。
この問題を解決するためにはICTツールの活用が有効です。たとえばビジネスチャットや社内SNSを活用したり、WEB会議ツールを活用したりして、オンライン上でもコミュニケーションを活発に行えるようにしましょう。
マネジメントが難しくなる
テレワークではマネジメントが難しくなるという問題があります。その理由は、実際に働いている姿を確認できないため、評価が難しいということと、コミュニケーションを取る機会が減少するためにプロジェクトが進行しにくいことがあげられます。
評価制度については、上司が成果に気がつかないことで、モチベーションの低下につながる可能性があるでしょう。解決策としては評価制度を確立させ、評価の基準をしっかりと社員に伝えてあげることが重要です。
また、プロジェクトを円滑に進めるためには、チャットツールやタスク管理ツールを活用し、定期的にオンラインミーティングで進捗を報告しあいましょう。
テレワークでもチャットツールなど共通のコミュニケーションツールを使って、頻繁に社内や社外を問わずに連絡を取り合うことは可能です。
社員が業務を行いやすい環境を整備することが、マネジメントの効率化にも繋がります。
セキュリティリスクへの対処
テレワークの場合、セキュリティのリスクも問題です。実際に、セキュリティ面に脆弱性があると、そこを狙われて情報が漏洩したという事案が発生しています。
また、カフェや公園などで仕事をしていると大事な情報の入ったUSBやPC本体が盗難に遭ってしまうというケースも考えられます。
セキュリティ面のリスクを解消するために、セキュリティソフトを導入したり、セキュリティガイドラインを策定して、社員の意識を高めるなどの対策を講じましょう。
情報漏えいは企業全体のイメージダウンにもつながります。外部への情報流出はくれぐれも注意が必要です。
テレワークの実現には導入プロセスの理解が重要
昨今、テレワークを導入する企業が増え、働き方としても定着してきました。テレワークを実現するためには、導入プロセスを理解し、ステップを踏むことが重要です。本記事では具体的な導入プロセスや、よくある課題、解決策を解説しました。
今後、テレワークを導入するにあたって重要な内容なので、ぜひ参考にしてください。しっかりと準備を行い、テレワークの導入を成功させましょう。
※ワウテック株式会社は2023年9月1日にグループ会社であるキングソフト株式会社と合併いたしました。