テレワーク可能な職種10選!導入に向いている職種の共通点を徹底解説
政府が主導する働き方改革や、新型コロナウイルスの感染拡大などから、現在では業種を問わずテレワークの導入が加速しています。
しかし従来のオフィス勤務からテレワークに切り替えるには、克服すべき諸問題が多数あると共に、小売りや流通業など、基本的にテレワークが不向きな職種が存在するのも事実です。
そこで今回はテレワークの利用割合が高い業種や職種の現状をはじめ、比較的テレワークが導入しやすい職種を10個ピックアップしてご紹介します。
またこれらの職種が「なぜテレワークに向いているのか?」について、各職種の共通点を詳しくご紹介しながら、テレワークの導入で社員の働き方がどのように変わり、企業側にどのようなメリットがあるのかを徹底解説していきます。
目次
テレワーク利用の割合が高い職種とは?
ここからはテレワーク利用率の割合を業種と職種に分け、その現状をご紹介していきます。
テレワーク利用者の割合
新型コロナウイルスの感染拡大などから全国規模でテレワークの普及が進み、現在では企業がテレワークを利用すること自体は特に珍しくなくなりました。
しかし国や民間が行った統計調査では、実際にテレワークを導入して利用している日本企業は、全体の約5割に留まっており、これは依然としてテレワークの導入が難しい業種や職種があるためだと考えられます。
業種別:テレワークの導入率
総務省が2020年に行った業種別の動向調査によれば、テレワークの導入率が1番高い業種は情報通信業で、2019年の46%からわずか1年で92%に倍増しています。
不動産業や金融・保険業も67%以上と高く、次に建設や製造業が56%と続きますが、運輸業やサービス業は30%前後と低く、国内全体の導入率は47%に留まりました。
これらの結果からも、やはりテレワークの導入には、業種により向き不向きがあることがよく分かります(※1)。
職種別:テレワークの導入率
2020年に株式会社リクルートが行った職種別の実態調査では、テレワークの導入率が1番高い職種は企画とマーケティングで、2019年の38%から82%に上昇しています。
また、Webクリエイティブ系も30%から70%に、営業職やエンジニアも2019年の20%前後から60%以上に急上昇しています。
これに対し、医療、福祉、教育および、販売や外食系など、人との関わりが前提となる職種は、2019年より10%以上増加したものの、2020年の最終的な導入率は23%~26%に留まりました。
さらに、あらゆる物を常に輸送する運輸業や、現場業務を行う建築や土木業の導入率も20%前後と低く推移しています。
これらの調査結果から、業種別ではテレワークの導入率が比較的高い建設業も、設計や事務職ではなく、建築現場で実際に働く職種では、テレワークの導入が難しいことは明らかであり、これは物流を担うトラックドライバーも同様と考えられます(※2)。
※2:コロナ禍を受けたテレワークの実態調査|株式会社リクルート住まいカンパニー
テレワークが可能な職種10選
ここからはテレワークの導入が可能な10個の職種と、その主な理由を詳しくご紹介します。
①コンサルタント
経営や戦略コンサルタントは、経営上の課題や不安を抱えるクライアントに対して、課題解決のための助言や提案を行う職種です。そのため一旦業務を受注すれば、あとは事務作業が基本となることが多い職種といえます。
例えばクライアントからの聞き取りや折衝も、ビジネスチャットツールのビデオ通話機能などを利用しオンライン上で会話すれば、主要業務のほとんどをテレワーク化できる可能性があります。
ただし、これらはクライアントの同意と理解を得ることが前提となるため、テレワークに精通した専門家のアドバイスや、使い勝手のよいオンラインツールの導入が必要になるでしょう。
②デザイナー
デザイナーは専門性が高い職種で、クライアントの意向をよく聞きながら、希望を満たすデザインを制作することが主な業務となります。
パソコンとデザイン用の専用ツールが使える環境にあれば、基本的にどこでもできる仕事です。個人でデザイナーをやっている人は極端なことをいえば、明日からでもテレワーク化が可能でしょう。
ただしネットに不慣れで、あくまで対面での指示や折衝を望むクライアントの場合は、テレワークで対処するのが難しい場合も考えられます。
つまりテレワーク化にはコンサルタント業と同じく、クライアントの同意を得ることが必要で、この部分をうまくクリアできるかが成功の鍵になるでしょう。
③ライター
文章作成を主要業務とするライターはデザイナーと同じく、ノートPCが1つあればどこでも仕事ができます。
以前は雑誌などの紙媒体が主流であり、編集部に出社して社員が行っていた編集業務も、ここ10年あまりでオンライン化が急速に進み、Web媒体に携わるライターが増えました。
国家資格などは必要なく、未経験者でもすぐに参入できますが、その分ライター同士の競争が激しいため、継続して仕事を受注できるかどうかは、ライターそれぞれの力量と経験に左右されることが多い職種です。
④企画・マーケティング
企画・マーケティング業務は自社サービスや商品を、顧客へ効果的にアピールするための、販売戦略を練るのが主な仕事になります。
資格は一切不要ですが、それぞれの業界に精通した情報収集能力と、売り上げに対する結果を常に求められる職種なため、マーケター同士の競争は激しさを増しています。
例えば現在注目を集めているWebマーケターは、基本的にオンラインでの業務が主体となるため、仕事用のPCが1つあればすぐにテレワーク化が可能でしょう。
⑤システムエンジニア・プログラマー
システムエンジニアはコンピューターシステムを主体とするソフトウェアの運用や試作開発、管理保守など、幅広い分野を受けもつ職種です。
プログラマーはこれらのシステムを実際に動かすプログラミングを担当する職種で、どちらも資格などは特に必要ありませんが、各種のプログラミング言語を理解している必要があり、それぞれの専門分野に精通していないと務まりません。
日本国内では、かなりテレワーク化が進んでいる職種で、クライアントとのやり取りもネット上のクラウドサーバーや、チャットツールを使用して行うことが多くなっています。
⑥カスタマーサポート
カスタマーサポートは自社の製品やサービスを、顧客に正しく取り扱って貰うためのサポート業務や、製品に不具合が生じた場合のクレーム対応を担当する職種です。
以前は電話サポートや訪問サポートが主流でしたが、近年ではメールやオンラインチャットによるサポートや、ソフトウェアのトラブルをオンライン上のリモートコントロール機能を使い解決する「リモートサポート業務」が増えています。
未経験者が比較的参入しやすい職種であり、訪問サポート以外のカスタマーサポート業務は、基本的にオンライン上や電話で対応が可能なため、テレワーク化がしやすい職種です。
⑦オペレーション業務
オペレーション業務にはさまざまな意味合いがあり、一般的に業務の管理や実行をオペレーションと呼びます。
具体的には、工場の機械を動かすことや、あらゆる職種の人員配置や業務の進行管理、倉庫の在庫管理、株の売買操作、外科手術など多岐に渡ります。
このうち人員配置や業務の進行管理、株の売買操作などは、管理者が遠隔で指示を出して行うことができるため、テレワークに向いていると言えるでしょう。
⑧営業
一般的に営業職は飛び込み営業やルート営業、既存顧客向けに対面でのプレゼン対応が必要になるため、テレワーク化が難しい職種に分類されます。
しかし昨今の新型コロナウイルスの感染拡大などから、対面でのプレゼンをオンラインのビデオ通話に変更する形で、少しずつテレワーク化が進んできました。
スムーズなテレワーク化には既存顧客へ丁寧な説明を行いつつ、事前に理解と同意を得ることが重要です。できるだけ使い勝手のよいビジネスチャットツールを選ぶ必要があるでしょう。
⑨人事・総務・経理
人事・総務・経理はそれぞれ個別のデータを把握し、管理することが主要な業務のため、テレワーク化がしやすい職種のひとつです。
例えば人事課なら社員の面談や入社式を、オンライン上で多人数が同時接続できるWeb会議ツールを活用して行ったり、総務課は備品の発注や管理を外部に委託し、社内文章の作成はPDFや電子署名を活用すれば、電子文書化することができます。
同様に経理課も仕入れや売り上げ、預金管理や税務に関する書類の作成と回覧をオンライン上で行うようにすれば、スムーズにテレワーク化が可能でしょう。
⑩事務
一般的な事務職はデスクワークが基本のため、テレワーク化が容易な職種のひとつです。
すでにご説明した通り、社内文書は紙媒体ではなくすべてPDFで作成し、社内で部署ごとに共有するクラウド上に掲示して周知すれば、個別配布などの余計な手間が掛かりません。
業務上の書類の仕分けなどに関しては、オンラインで機能するタスク管理ツールを活用すると、過不足なく書類を管理し整理できますし、顧客に送付する文章も、了解を得た上でメール配布すれば、郵便料金と紙資源の節約に繋がるでしょう。
テレワークに向いている職種と3つの共通点
テレワークに向いている職種にはいくつかの共通点があります。ここからは特に注目すべき3つの共通点と、テレワーク化が社員にもたらすメリットをご紹介します。
オフィスにいなくても仕事ができる
オフィスにいなくてもできる仕事を、毎日早起きして満員電車に乗り、苦労の末に出社してこなすのは、ある意味で非合理的な行為です。
これらをテレワーク化すれば、朝はゆっくりと起きて食事を済ませ、余裕をもって仕事に取り掛かることができるため、業務に対するモチベーションも上がるでしょう。
オンライン上のコミュニケーションで事足りる
ご紹介してきたように、わざわざオフィスに出向かなくとも、オンライン上のコミュニケーションで事足りる職種が世の中には数多くあります。
これらは業務効率や働き方改革の観点からも、できるだけ早くテレワーク化することが望まれます。テレワーク化が成功すれば、働く社員の時間的かつ精神的負担が大きく軽減され、さまざまなメリットが生まれる可能性があるのです。
業務成果を明確にできる
デザイナーやライターなどの専門職は、自分の受けもつ業務範囲があらかじめ決まっており、業務上の成果を明確にしやすい職種です。
またこれらの職種は他の社員との直接的なコミュニケーションが取れなくても業務の遂行が可能なため、テレワーク化が容易といえます。また、このことはデザイナーやライターに限らず、PCを使って仕事をする技術系の専門職の多くに当てはまるでしょう。
テレワーク制度の導入は企業側にもメリットがある!?
ここまでは社員側のメリットをご紹介してきましたが、テレワーク制度をうまく導入すれば、企業側にも多くのメリットが生まれる可能性があります。
生産性の向上が見込める
「1つの職場でみんな一緒に仕事をこなす」という従来の進め方では、社員に与えられた裁量が少なく、自分の仕事以外に同僚がやり残した仕事も、ある意味で強制的に引き受けなければなりません。
そのため長時間残業や上司の過干渉が起こりやすく、その結果、社員のモチベーションが低下します。社内的には人件費ばかりが膨らみ、組織全体の生産性向上は見込みづらいでしょう。
しかしテレワーク化で分業制を促進しつつ、社員の労働環境や評価基準を抜本的に見直し、それぞれの社員が好きな時間と場所で仕事をできるようになれば、業務に対するモチベーションが大きく上がり、生産性の向上も期待できるはずです。
コストの削減
テレワークでは出社義務が無くなるため、社員に支給する交通費が原則不要になり、大幅なコスト削減が期待できます。
さらに既存オフィスも縮小や移転が可能となるため、オフィスの賃料をはじめとする、通信費や光熱費といった固定費の削減に繋げられます。
BCP対策ができる
BCP対策とは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、大規模災害や事件事故が発生したときに、企業が被る被害を最小限に抑え、事業の継続を滞りなく行うための方法や手段を、あらかじめ決めておくことを意味しています。
例えばテレワークを導入すれば首都直下型の大地震が発生しても、多くの社員は出社義務が無いため、災害で起こりうる、さまざまな危険を未然に回避できるようになります。
これは現在問題になっている新型コロナウイルスの感染拡大も同様で、つまりテレワーク化そのものが「効果的なBCP対策」になるのです。
企業イメージ・社員の満足度が向上する
日本国内のテレワークは徐々に普及しつつありますが、導入率を全国規模で見ると、未だ全業種の5割程度に留まり、業種によってはかなり低く推移しているのが現状です。
そのため他社に先駆けてテレワーク化を早期に成功させれば、国が推し進めている働き方改革に合致するため、対外的な注目を集めることができ、社員の満足度向上と共に、企業イメージのアップに繋げられます。
人材確保ができる
テレワークでは、従来のオフィス勤務では働けない人材を確保できるようになります。
例えば出産や育児、親の介護などで休業を余儀なくされた方も、テレワークならば自分の都合に合わせて働けるため、就業を継続することが可能です。
さまざまな職種の方がテレワークを導入するために
本記事ではさまざまな職種の人がテレワークで働ける可能性と、その理由やメリットをご紹介してきました。
また企業側の観点からも、いくつかの重要なメリットをお示ししましたが、テレワークの導入が促進されるためには、使い勝手のよいITツールの導入が非常に重要です。
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